私は映画が好きではなかった。それは子供の頃、金曜日や日曜日の夜にテレビで映画を放送しているのを見てからだった。
「こんどテレビでやるよ!」って学校で話題になった映画をテレビで見てみたけれども、正直全く面白いとは思わなかった。いや、むしろ不快に感じる位だった。
いつも話題になるのはたいてい洋画、それもアメリカ映画のアクション物だった。ハデなアクションが繰り広げられるのだが、これがまずイヤでしかたなかった。
内容的にはまだ子供だったから、十分に理解できたとは思えないけど、主人公が拳銃バンバン撃って、殺された人間の描写がやけにリアルで、私は「人が殺されるの見ていて何が娯楽なんだろう?」とずっと思っていた。
だから、そういうテレビ番組もほとんど見ることがなかった。ましてやこの手の映画を、お金払ってまで見たいとはとても思えなかった。
もちろん今は、この考え方が正しくないことは分かっている。ある程度のアクションや暴力的な要素が映画を面白くするのだろうし、非日常的な部分に娯楽性があるのだろう。
でも、頭では分かっているのだけれど、映画を見て楽しむ事が習慣として私にはなかったので、ずっと映画からは遠ざかっていた。
なのに大学生時代に、レンタルビデオ店でアルバイトをしていたことがある。自分以外のバイト君たちは、みんな映画が好きだった。当時バブル最盛期でレンタルビデオ店もたくさんあった。
私がここでバイトをしようと思ったのは、仕事がラクそうに思えたからだった。私なりに立派な理由だったのだが、自分以外のバイト君たちは、タダでビデオが借りれるからここでバイトをしているようだった。
だからみんなよくこっそりとビデオを借りて帰っていたものだった。なのに全く借りて帰ろうとしない私は「何か借りてけば?」とよく言われたのだが、見たいものがないというよりも、映画についてあまりにも何も知らなすぎるので、何を見ればいいのか全く分からなかった。
ホラー物とか、アクション物とか「これ面白かったよ。」って勧められても、その手の物はもともと見る気がしなかったので、借りることはなかった。
「うだうだ言わずに、とりあえず見てみろよ!」とたまに自分自身に言い聞かせてみるのだが、やはり見る気がしなかった。
そんな時、私の性格をよく理解しているバイト仲間が「これならきっと気に入りますよ。」って渡してくれたのが、「カッコーの巣の上で」だった。彼が勧めるくらいだからきっと面白いような気がしたので借りてみた。
結局、すばらしくて見てよかったと思ったのだが、これを選んで私に勧めてくれた彼の趣味もすばらしいと思った。
それから一気に映画大好き人間になって・・・と言いたいところだが、結局そこでバイトをしていた時はほんの数本しか見なかった。
新しいビデオが入ると景色が変わるのでやはり目に付くものだったが、私の場合、普段手にとってケースを見たりすることもほとんどなかったのだが、店内を歩いているとき思わず手が伸びてしまったのがソフィー・マルソーの「スチューデント」だった。理由はもちろんケースのパッケージの女の人が可愛かったので。
手にとったケースをよく見てみるとソフィー・マルソーと書いてある。うーん、なんとなく名前は聞いたことがあるけど、映画の女優だとは知らなかった。とりあえず一目惚れしたので、アクション物好きのバイト仲間に「これどうかな?」と聞いてみると、「あぁソフィー・マルソーね。知らないの?有名なフランスのアイドルだよ。」といわれ、「じゃあ、借りてみようかな。」と言ったら、「でも、たぶんつまらないと思うけど。」と言われた。
別に見たわけではないらしいが、なんとなく分かるらしい。
めずらしく借りてみて早速家に帰って見てみる。内容的にはたいしたことはないのだけど、こういうおっとりした内容も嫌いではないし、いやはやソフィーは可愛かった。随分、日本人受けする美人だなと勝手に分析しながら見たのだが、そういえば隣にもソフィー・マルソー主演のビデオがあったなと思い、次にバイトに行ったときに調べてみると、「私の夜はあなたの昼より美しい」だった。タイトルでクラッとしてしまい、もちろん借りてみた。内容も雰囲気もすっかり気に入ってしまった。
ソフィー・マルソーが主演の映画でラブームがあることは知らなかったので、借りたことはなかった。ラブームが話題になっていた頃は、私は小学生で、当時健全な小学生の私の頭の中は、ガンダムとLSIのゲームでいっぱいだったから、ソフィー・マルソーなんて知らなかった。
レンタルビデオでバイトをしていた頃からもう15年位経ってしまった最近、やはり映画は見ていなかった。映画を見るということが、私の生活の中には必要とされていないのだ。
そんな中、たまに昔のいろんなことを思い出すのだが、たまたまソフィー・マルソーのことを思い出した。あの人は今、一体何歳くらいなんだろう?とか、いろいろな映画に出ているのかな?とか、そしてあの時見た2本の映画がまた見たくなってしまった。
最近はネットオークションが好きだったので、検索してみるとレンタル落ちのビデオが、びっくりするくらい安く売られている。近所のまだ一度も行ったことがないレンタルビデオ店数件へ行って探して借りようと思っていたが、オークションで買っても悪くないと思って「スチューデント」を落札した。
そうなるともう1本の「私の夜はあなたの昼より美しい」も見たくなる。どうやらこちらは、DVDでまだ売られているようだ。家の近くで探すより、ネットの通販で買ったほうが楽だったので注文して、こちらも久しぶりに見ることが出来た。
そうするとだんだん他の出演した作品も見たくなり始める。そうして少しずつ借りたり、買ったりして、随分時間がかかったが、やっとソフィー・マルソーがキッカケで映画を見るようになった。
そんな最近の自分が好きなソフィー・マルソーの事と、映画嫌いだった自分が見た映画についてのシネマレビューをお届けします。ただし、映画館に行って見ることはないと思うので、ビデオやDVDで見た最新ではない映画が中心になると思いますが。
|