WordPress の参考書を買ったもののよくわからず挫折した、パソコンが苦手でそもそも手が出ない…という人に一筋の光が差し込む…!
動画付きの参考書『動画で学ぶWordPressの学校 初めてWebサイトを立ち上げるときに読む本』が2016年3月18日に発売されました。活字が苦手な方や、専門用語の連続に読む気を喪失したことがある方は試す価値がありそうです。
Contents
動画+紙の参考書も手元に欲しいという方に最適
サブタイトルにあるように、本書は「初めてWebサイトを立ち上げるとき」に向いています。Webサイトの住所にあたる「ドメイン」や、サイトデータの置き場所である「サーバー」の準備から解説があり、最低限必要であろうページや機能の設定が含まれています。本書の内容を一通り実践すれば、ひとまずWebサイトが公開できます。
動画は DVD などが本書に付属するわけではなく、ページ内に記載のある読者専用の動画ページにアクセスすることで閲覧できます。内容は約3時間ほどで、書籍の内容と完全に連動しています。まさに書籍が映像化されたようなイメージですね。
世の中には動画の WordPress 講座は複数ありますが、講座に連動した参考書がセットというものはまだ少ない印象です。動画のみならず、紙で参考書も欲しいという方には最適です。
プログラムを極力触らずに進めたい方向き
内容は初心者向けで、以下のような方に向いています。
- プログラムを極力触らずにつくりたい方
- ひとまずWebサイトを立ち上げたい方
- 小規模店舗や個人事業系の方
最後の「小規模店舗や個人事業系の方」というのは、本書でつくるサンプルサイトがヘアサロンを想定したものであることと、以下のような機能を追加する内容があるためです。
- チームでの管理方法
- 料金表の作成
- お問い合わせフォームの設置
汎用的な機能ですので、もちろん小規模店舗や個人事業の方以外にも使える内容です。
ちなみにお問い合わせフォームは、「名前・メールアドレス・問い合わせ内容」の3項目を送信する簡易なものではありますので、日時指定が必要な予約フォームなどは参考書外の内容が必要です。
全体的にやさしい内容ですので、独力でネット検索をしながら WordPress のインストールやカスタマイズができそうな方は、もう少しくわしい内容の参考書にあたるとよいですね。
動画の視聴スタイル
動画の画面と作業画面の2つを並べて作業する場合、20インチ前後以上の大きなディスプレイやタブレット、大きめのスマートフォンをサブディスプレイとして動画視聴用に使うのがよさそうです。
画面の大きさがどれくらい必要かは個人差がありそうですが、私は iPhone 6s の4.7インチサイズでも大丈夫でした。細かい文字を見なければいけない場面はそれほど多くないですし、参考書が手元にあれば問題ありません。スマートフォンやタブレットをサブディスプレイとして使うなら、スタンド的なものが欲しいですね。
動画のクオリティとたにぐち先生のインターフェイス
私はスクールでの仕事もしているため、映像教材を観る機会が多いのですが、音声や映像の品質はスクールの水準に劣らないものでした。フルHDの高画質動画で、一般的な DVD よりも高画質のようです。音声では若干気になる点がなくはありませんでしが、約3時間の視聴内容として十分なクオリティです。
講師であり著者のたにぐちまこと先生はWeb系のプロ向けセミナーにもよく登壇されている方で、教える仕事という面でもプロの方です。個人的に何度かセミナーに行ったこともありますし、信頼できる先生です。かつては Ustream(動画配信サービス)を使って夜な夜なレクチャーなどもされておりましたし、その当時から何かとお世話になっております。
たにぐち先生のソフトな語り口とやさしいビジュアルのヒューマンインタフェースは、きっと多くの方にとって安心できるものでしょう。
気に留めておきたいこと
ドメインやレンタルサーバーは事前に検討を
本書の中ではドメインとサーバーの取得に「CPI」というサーバーサービスを使った手続きを紹介しています。サービス内容は申し分ないものですが、初心者の方が1つのサイトを立ち上げて使うサーバーとしては、月額3,800円は少しお高い部類かもしれません。
値段的にちょっと重いなぁと感じる方は、本書内で紹介もある「さくらインターネット」のスタンダードプラン等(月額515円から)の利用も検討してよいでしょう。1日に何万回も見られるようなサイトでない限り、月額515円のプランでも問題ありません。
「CPI」のサービスは10日間無料で使うことができますが、無料期間内に契約を解除すれば、つくったWebサイトも消えてしまいます。一度つくったサイトを別のサーバーサービスに引っ越すのはそこそこ手間がかかりますし、初心者の方には難易度が高めです。プロに頼むにしても、10日間の期限内で処理するのは少し無理があるかもしれません。
とりあえず練習で始めて、無料期間が終わったらなくなってもいいな、という方は本書の通りに進めていきましょう。
早めに実践するのが吉
技術系参考書の宿命ですが、WordPress 自体が今後進化して画面の構成などが変わっていくと、動画や参考書の内容と WordPress の画面の整合性がとれなくなっていくことがあります。
本書は WordPress のバージョン 4.3.3 を基準につくられていますが、2016/03/21現在ではバージョン 4.4.2 が最新です。今のところ大きな問題はありませんが、2016年中に 4.5 、4.6 と少しずつ変わっていく予定です。どれくらい変わるかは未知ながら、年内は問題ないと予想します。ただ、来年以降に 4.x から 5.0 などの大きなバージョンアップがあると、整合性がとれなくなってくる可能性は出てきます。
初心者の方は、参考書と実際の画面のちょっと違うだけでつまずいてしまうこともあると思います(実際にスクールでよく目にします)。その意味では早めに購入し、実践するのがよいでしょう。動画自体も来年、再来年とずっと公開されている保証はありません。
プログラムを触るレベルで体験してみたい方へ
本書はプログラムをほとんど書かずに WordPress サイトをつくることができます。もし自分自身でプログラム(HTMLやCSS)を書きながら WordPress サイトをつくってみたい、という方は「ドットインストール」というサイトの「 WordPress 入門 」という動画コースが参考になります。
こちらのサイトも動画で学ぶことができますので(しかも無料)、勝手が似ています。ただ、動画の中の WordPress のバージョンが 3.5.1 とやや古いものを前提としていますので、実際の作業画面と異なる部分があります。
加えて実際にプログラムを書いたり、動かしたりする内容ですので、今回ご紹介した参考書よりもレベルは高くなります。わからないことを適宜調べていくことも必要になると思いますが、ご興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
WordPress を使ったサイト制作方法は、ネットで検索してみると大量に出てきます。ただ、用語の意味がわからなかったり、微妙に古い情報で混乱したり、小さなところつまずいてしまう方がいらっしゃいます。そもそも PC が苦手という方は、手も足も出ないということもあるようです。
本書はそんな方々にやさしくレクチャーしてくれる内容でした。あれこれやりたいことはあるけれど、まずは最初の立ち上げを無事に成し遂げたい、という方には大いに助けになるでしょう。ネットで調べても立ち上げができなかった、という方は参考になさってください。
本書および動画の目次
1限目 WordPressを使ってみよう
- 1-1 WordPressってどんなもの?
- 1-2 WordPressを使うために必要なもの
- 1-3 WordPressをセットアップしよう
- 1-4 「投稿」で記事を書いて公開してみよう
- 1-5 企業サイトに必須の「固定ページ」を作成
2限目 WordPressでサイトを作ろう
- 2-1 「テーマ」を変更してデザインを切り替えよう
- 2-2 ウィジェットで回遊性を高めよう
- 2-3 Webサイトのメニューを設置してみよう
- 2-4 プラグインで機能を拡張しよう
3限目 WordPressを活用しよう
- 3-1 フロントページでサイトの「顔」を作ろう
- 3-2 公開設定を細かくコントロール
- 3-3 Webサイトをチームで管理しよう
- 3-4 プラグインを活用してサイトを充実させよう
- 3-5 もしもに備えてデータをバックアップ
- 3-6 本格カスタマイズに挑戦しよう
おまけ
余談ながらスマホ用の三脚やスタンドがあると便利そうでした(あっ、このサイトから買ってほしいわけじゃないんです)。
これ↓とかしびれますね(あー、別に買ってほしいわけじゃないですよ)。
タブレットと兼用するなら以下のようなものもいいかもしれません(いやー買っても買わなくてもいいんですけどね)。
参考書を開いたまま固定するストッパー。2つあると安心できます。今回紹介した参考書は紙質が柔らかめで(さすがの配慮!と内心思うなど)必要ないかもしれませんが、ご参考までに(これは実際たまに使っていておすすめです。あっ、別にこのサイトから買っていただなくても大丈夫なんですけどね)。
個人的に「 WordPress でいい参考書ないですか?」とよくご質問をいただくので、今回はじめて書評エントリーを書いてみました。書店でいろいろな参考書をめくってみると、なるほどと思う部分も散見されるので、またレビューしてみたいと思います。
技術書コーナーの徘徊は計画的に。