プロにWebサイトの相談をするとき、相手からいろいろと質問を受けると思います。その際、「この人はパートナーとして信頼できるな」と感じる質問はどのようなものでしょうか? プロの現場で見られる3つの特徴的な問いかけをまとめました。
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Web制作の打合せを観察するイベントへ
今回の記事を書くきっかけは、『 Roundtable – Meeting Show – #1 』という、Web制作の打合せを公開(見える化)するイベントに参加したことでした。会場の中央に位置するテーブルで、クライアント役の企業(株式会社優クリエイト<クリエイターに強い人材系企業>)とWebディレクター3名(Web業界では名の知れた方々)が打合せをし、その光景を周囲でたくさんの人が見ているというユニークなイベントでした。
打合せのお題はWebサイトのリニューアルで、3人のディレクターがクライアントへ次々に質問し、最後に振り返りを行うという流れです。1時間弱の打合せ後、クライアント側から「この質問はよかった」というフィードバックがありましたので、主にその点を要約します。
長く付き合えるWebのパートナーを探している方は、ひとつの参考にどうぞ。
質問1「社名の由来は何ですか?」
社名やロゴには、その会社の特徴が表れています。どのような理想を掲げて会社がつくられたのか、どんなことを目指しているのかなど、企業理念に関わる話が引き出される要素です。自分メディアとしてWebサイトやブログをつくるとき、サイトのタイトルをあれこれ考えて悩んだ経験がある人もいらっしゃるでしょう(難しいですよね)。
このような内容の質問があるかどうかで、質問者が相手のビジネスを理解しようとしているか? が読み取れます。そこから理解しようとするパートナーとは、長く付き合えそうな印象を持ちますね。一方で社名やロゴに特に深い意味がない場合、なぜその会社が存在するのか? 何をしたいのか? といった大きな問いになり、話が壮大になることもあります…。
イベント内でクライアント側だった方からは、「Webサイトの後にあるものも理解しようとしてくれるとうれしい」という声もありました。例えば、会員登録がゴールのWebサイトであれば、会員登録を無事獲得できたあと、次にクライアントはどう動くのかも聴く、ということですね。「後」だけと言わず、Webサイトの前後にある流れを踏まえたいところです。
Webサイトはあくまでも手段です。Webサイトをつくること自体が目的化してしまわないよう、企業や個人の活動におけるWebの役割は何なのか? を考え、本来の成果に貢献しようとするパートナーを選びたいですね。
質問2「何か不安はありますか?」
これはダイレクトな表現ですが、イベントでは「10年間リニューアルをしてこなかった理由はありますか?」という質問でした。結果、「SEOの順位が下がるのがこわい」というクライアントの不安が引き出されました。
終始、場の空気をなごませていたディレクターの方がおっしゃっていたのは、「クライアントは不安なことが多いんですよね。」ということ。今回のようにリニューアルとなれば、大きく変更する分、リスクもともないます。そこに不安が生まれるのは当然ですね。
新しくWebサイトをつくりたいという相談でも、「理想はあるけど費用がすごくかかるのでは…」、「無知なことを晒してしまうのでは…」、といった不安はつきものでしょう。
そんな不安を一通り聴いてくれる人や、聴いていいんだという空気をつくってくれる人は安心できますね。仮に現実的でない要望を出してしまったとしても、「それはできません」と否定するばかりではなく、「こういう手ならあります」と対案を提示してくれたり、調べたりしてくれたりする人だと理想的です。
私自身もまず相手のことを一通り受け入れる、ということを大事にしています。まず受け入れることをしないと、その後の提案も受け入れてもらいにくいと考えるからです。
質問3「こんな施策はどうですか?」
これは質問というよりも、提案かもしれませんね。要望や課題、不安な点などを一通り確認したうえで、「こんなことをしてみてはどうか?」という問いかけがあるかどうかです。
相談する側は、Webのことはよくわからない、ということも多々ありますので(だからこそ相談するのでしょう)、Webのプロとしての知識や知見、アイデアを出してくれるパートナーは頼れますね。
ディレクターがクライアント企業や業界に精通している場合、「こうすべきです!」とビシッと提案されることもあると思います。ただ、そうでないケースも多々あるでしょう。Webのプロでも、クライアントの業界にくわしいとは限りません。その意味では、的外れな「こうすべき」という提案よりも、「こうしてみてはどうか?」という問いかけの方が、よい結果につながります。ちょっとしたブレストでしょうか。
イベントに出られていたディレクターさんも、大小さまざまな提案を打合せの中に織り込んでいらっしゃいました。クライアントに刺さるアイデアはそう簡単に出ないと思いますが、イベント内では1個、刺さるアイデアが出ていました。
まとめ
Webのプロかどうかより、コミュニケーションがとれるかどうかがまず大事なのだろうな、というのが率直な感想でした。相談する側からは、「会話が専門用語だらけの人と話すと疲れてしまう」といった声も…。これは私もお客さまからよく聞きます。詰まるところ「会話ができない」という印象になってしまうようですね。
長く付き合えるWebのパートナーを探すなら、
- 自分の事業かつ活動に興味を持って理解しようとしてくれるか?
- 理解した上で提案をしてくれるか?
この点を気にとめてみましょう。
普段相談を受ける側の私も改めて肝に銘じようと思ったイベントでした。
自分の仕事の客観視は計画的に。
P.S. 打合せと言えば前、こんな本を読みました。「打合せはコストである」と。